
この記事の執筆者:齊藤 桜海
ピラティススタジオBB 三軒茶屋 | PHI Pilates インストラクター
この記事でわかること💡
・「自分なりの学びの目的を持って臨む」ことから始まったセミナー
・大岩俊貴講師「肩関節編:構造から紐解く機能改善アプローチ」セミナーの3部構成の内容
・各部から1つずつ取り上げた印象深い学び(胸鎖関節 / 肩甲骨の前傾後傾・内旋外旋 / プロ野球ピッチャーの指導現場でも活用される全身連動トレーニング)
目次
講師紹介
大岩 俊貴(Toshiki Oiwa) ― マスターピースボディルーム/名古屋 代表
鍼灸あん摩マッサージ指圧師。ピラティストレーナー歴18年。日本代表アスリート、WBC監督 井端弘和氏をはじめ、メジャーリーガー、プロゴルファーなど数多くのトップアスリートをサポート。プロ野球においては、特に足から肩への運動連鎖を考慮したピッチャー指導に定評があります。
今回の午後の部では、複雑な構造を持つ「肩」に対し、どのような評価を行い、どう介入すべきか。ピラティスや徒手療法の視点を融合させ、痛みの緩和からパフォーマンス向上までを繋げる「肩」のスペシャリストによる実践講座でした。
セミナー概要

- 日時:2026年4月23日(木)14:00〜17:00
- 会場:ピラティススタジオBB 恵比寿
- 講師:大岩 俊貴 氏(マスターピースボディルーム/名古屋 代表)
- テーマ:肩関節編 〜構造から紐解く機能改善アプローチ〜
午前の小田島政樹講師による「ピラティスリング活用編」に続き、午後はピラティススタジオBB 恵比寿にて、各地から集まったインストラクター・運動指導者を対象とした少人数制(定員10名)の実践講座として開催されました。
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※ 本セミナー午前の部のレポート記事です。
「自分なりの学びの目的を持って臨む」ことから始まったセミナー
大岩講師のセミナーは、いきなりエクササイズや解剖学的解説から入るのではなく、参加者それぞれが「今日、自分は何を持ち帰るのか」を意識することから始まりました。

今回のセミナーには、指導歴の長い方から、これからさらに学びを深めていきたい方まで、さまざまな立場の参加者が集まりました。大岩講師は、そのそれぞれの段階や立ち位置を尊重したうえで、3時間の講義を組み立ててくださいました。
大切なのは、参加者自身が、自分の現在地や課題感に合わせて「今日の学びの目的」を持って臨むこと。
そして、3時間の中で受け取る情報の中から、たった1つでも新しい学びを持ち帰ることができれば、それはセミナーに参加した大きな価値になる、そんな姿勢で臨めるよう、冒頭で大岩講師が場を整えてくださいました。
ベテランの先生にとっては既知の内容を別角度から捉え直す時間に。
学習中の参加者にとっては、自分の現在地を確認しながら一歩ずつ理解を深める時間に。
同じ3時間でも、参加者一人ひとりが自分なりの収穫を持ち帰れる、そんな余白のある進め方に、講師としての懐の深さを感じる時間でした。
こうした姿勢のもとで進められた3時間は、大きく以下の3部構成で展開されていきました。
- 肩の動作不全に関する解説と評価
- 教科書にあまり載っていない肩甲骨の動き
- プロ野球ピッチャーの指導現場でも活用される、全身連動トレーニング
ここからは、各部の中でも特に印象に残った学びを、1つずつご紹介していきます。
【Part 1】肩の動作不全 ― 胸鎖関節と鎖骨のモビライゼーション

最初のテーマは「肩の動作不全」でした。
肩関節を考えるときに、つい肩甲上腕関節(いわゆる「肩」)に意識が向かいがちです。しかし大岩講師は、鎖骨と胸骨をつなぐ胸鎖関節も、肩関節の動きの起点として軽視できないポイントとして取り上げてくださいました。
なぜ「胸鎖関節」が肩の動きに大切なのか

実は鎖骨と胸骨をつないでいる胸鎖関節は、腕と体幹を骨でつないでいる唯一の場所です。腕や肩は背中側で筋肉によって体に支えられていますが、骨と骨が直接つながっているのは、この胸の前にある小さな関節だけなのです。
そのため、腕を上げる動きはまず胸鎖関節で鎖骨が動き、それに連動して肩甲骨、最後に肩そのものが動くという順序で生まれていきます。
最初の鎖骨の動きが十分でないと、肩も最後まで動き切らず、「肩が上がりきらない」「腕を上げると途中で詰まる」といった感覚につながりやすくなります。
ところが現代の生活では、デスクワークやスマートフォン操作で胸が閉じた姿勢が習慣化し、鎖骨は本来動けるはずの範囲を少しずつ失っていきます。
「肩がこる」「腕を上げると首が張る」といったご相談の背景にも、この胸鎖関節の動きにくさが隠れていることが少なくありません。
実際に触れて感じた、一人ひとり異なる鎖骨
実技では、参加者同士でペアになって鎖骨のモビライゼーションを体験しました。
私自身も、複数名の参加者の鎖骨を実際に触らせていただいたのですが、教科書を読むだけでは分からない感覚がそこにありました。鎖骨の動きの繊細さや個人差を自分の指先で確かめられたことは、大きな学びでした。
同じ「肩が上がらない」というお悩みでも、鎖骨の動きまで見られるかどうかで、アプローチの優先順位はガラリと変わるように感じます。【肩の動作不全】というテーマが、現場のセッションへ直結する形で立ち上がってきた、印象深い時間でした。
【Part 2】教科書にあまり載っていない肩甲骨の動き ― 前傾・後傾・内旋・外旋

肩甲骨の動きと聞くと、多くの方が「挙上・下制」「外転・内転」「上方回旋・下方回旋」という、いわゆる6方向の動きを思い浮かべるかと思います。教科書にも、養成課程のテキストにも、まずこの6方向が登場することが多い印象です。
関連記事 👉 肩こりの原因は肩甲骨の17筋にあった|肩甲骨エクササイズで根本改善
※ 肩甲骨周りの筋肉について、さらに学びを深めたい方はこちらの記事もどうぞ
しかし、大岩講師が今回取り上げてくださったのは、それらの教科書的な動きのさらに先、つまり肩甲骨そのものの「前傾・後傾」「内旋・外旋」という、本にあまり載っていない動きでした。

肩甲骨は単に背中を平面的にスライドしているだけではありません。胸郭という立体的な土台の上で、前後に傾いたり、その軸を中心にひねったりしています。肩甲骨が今どんな向きや傾きにあるのかを読み取れると、肩を整えるときの精度がぐっと上がるのだと、改めて気づかされました。
Part 2は、肩甲骨が本来持っている動きを知ることで、会員様への評価やアプローチの幅が大きく広がるのだと感じた時間でした。
【Part 3】プロ野球ピッチャーの指導現場でも活用される、全身連動トレーニング

写真は、大岩講師が実演してくださった全身の連動が求められるトレーニングの一場面です。
下半身は片脚をループに通して後方に引き、体幹はキープ。両手は片方でプッシュスルーバーをコントロールし、もう片方で後方のループを引く動作を行っています。
どこか一箇所でも力が抜ければ、この姿勢そのものが成立しないことを感じることのできる種目でした。
足元・骨盤・体幹・胸郭・肩甲骨を通してエネルギーが伝わり、最終的に「肩・腕」が動く。これは、ピッチャーが球を投げるときも、私たちが日常で腕を動かすときも、共通して起こっている連動です。
この連動性の上に「肩の動き」が成り立っているのだと、改めて感じました。
午前の部「ニュートラルの先へ」との繋がり

午前の部では、小田島政樹講師による「ニュートラルがゴールではない。その先へ導いていく」というメッセージを胸に、ピラティスリングを使って「会員様自身が動きをフィードバックする」アプローチを学びました。
そして午後のセミナー、大岩講師の肩関節アプローチへ。一見すると別テーマのように思えますが、両者には共通する視点があるように思いました。
それは、「ニュートラル」や「肩の不調」といった表面の状態だけを見るのではなく、その背景にある身体の連動や本来の動きを引き出していく、という指導者としての姿勢です。
ピラティスというツールをゴールにするのではなく、視野を広く持ちながら様々な方法や視点を取り入れていくことの大切さを知ることができました。
結果として、ピラティスの指導者として、視野を一段引き上げてもらえる、贅沢な一日となりました。
まとめ
今回の大岩俊貴講師による「肩関節編:構造から紐解く機能改善アプローチ」セミナーでは、「肩」という一点を、胸鎖関節・肩甲骨・そして全身の連動の中で立体的に捉え直すことができました。
3部構成それぞれから私が特に印象に残った学びは、
【Part 1】胸鎖関節と鎖骨のモビライゼーション:教科書を読むだけでは分からない感覚を、自分の指先で確かめられたこと
【Part 2】教科書にあまり載っていない肩甲骨の動き:肩甲骨が本来持っている動きを知ることで、評価やアプローチの幅が広がっていくこと
【Part 3】プロ野球ピッチャーへの指導など、現場で実際に使用しているトレーニング:肩は単独で動くのではなく、全身の連動の上に「肩の動き」が成り立っていること
いずれも、明日からのセッションに直接活かしていきたい内容です。
3時間を通して、丁寧に、そして参加者一人ひとりの学びに寄り添ってくださった大岩講師に、改めて心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
ピラティススタジオBBでは、インストラクターの指導力向上を目指し、今後も「BBスキルアップシリーズ」を継続して開催してまいります。引き続き、現場で活かせる学びを会員の皆さまに還元できるよう努めてまいります。
今後のセミナーに関する情報は、随時養成・セミナーページにてご案内しております。インストラクター・運動指導者の方で、最新のセミナー情報を受け取りたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
肩まわりの違和感や動きづらさを感じている会員様、また日々のお仕事や趣味のパフォーマンスを高めたい会員様は、ぜひ三軒茶屋スタジオ・恵比寿スタジオをはじめとする各スタジオで、お気軽にご相談ください。
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齊藤 桜海(Samia Saito)
PHI Pilates インストラクター、健康運動実践指導者。
宮城県出身。仙台リゾートアンドスポーツ専門学校在学中にピラティスと出会い、身体の変化や生活のしやすさに心を惹かれ、ピラティスインストラクターを志す。2022年4月に上京と共にピラティススタジオBBへ入社。2025年7月より三軒茶屋スタジオマネージャーに就任し、現在はスタジオ運営とレッスン提供を通して、会員様一人ひとりの心身の健康をサポートしている。