ピラティスのキューイングを4段階に深化させるイメージをイラスト化した画像

【台本付き】ロールアップ&ロールダウンのキューイング方法|4段階設計で導く指導法

#マットピラティス
#キューイング
#ロールアップ
時計アイコン

はじめに

ロールダウンとロールアップ。
ピラティスで最初に出会うエクササイズのひとつです。

シンプルに見えて、実は背骨の分節運動、呼吸との統合、体幹の協調など、あらゆる要素が詰まっています。

この台本では、同じロールダウン→ロールアップを4セット繰り返します。
動きは同じ。でも、インストラクターの言葉だけが変わります。

なぜ同じ動きを4回行うのか。

それは、キューイングの質を段階的に変えることで、クライアントの体験そのものが深まるからです。

1回目は「何をするか」を理解し、4回目には自分の身体の声を聞きながら動いている——その変化を言葉の設計で生み出します。

ピラティスのキューイングを4段階に深化させるイメージをイラスト化した画像

💡 クライアントの方へ
この記事はインストラクター向けの台本ですが、「なぜあのとき先生は言葉を変えたのか」がわかると、セッションの体験はさらに深まります。


4段階設計とは

BB Skill-Up Seriesが提唱する4段階キューイングは、1セットごとに言葉の役割を変えることで、クライアントの自律性を段階的に育てる設計です。

4段階の構造
・指示キュー —— 「何をするか」を明確に
・イメージキュー —— 「どう動くか」を感覚で
・呼吸フォーカス —— 呼吸の質に意識を向ける
・ランドマーク —— ワンフレーズで身体感覚を導く

ピラティスのキューイングにおける4つのプロセスを紹介した画像_指示キュー・イメージキュー・呼吸フォーカス・ランドマーク

この段階を追うことで、インストラクターの言葉は徐々に減り、クライアント自身の身体感覚が前面に出てきます。

🔎 設計の背景
・「ここで一呼吸」は修正ではなく統合の時間
・吸気=広がり・準備/呼気=分節・起動で統一
・すべて肯定構文で設計


セットアップ

「長座で座ります。」
「両方の坐骨が均等にマットに触れています。」
「脚はやわらかく長く、つま先は天井へ。」
「腕は前へ、肩の高さでそっと伸ばします。」

🔎 セットアップの設計意図
「均等に触れています」は状態描写。
「やわらかく長く」は肯定的抑制。


1セット目

何をするかを明確に伝える段階。

ロールダウン

吸って——
「背骨が静かに長く整います。」

吐いて——
「尾骨から、背骨がひとつずつ前へ流れていきます。」
「腕は身体と一緒に、そのままついていきます。」
「背中、肩、頭の順に床へ着きます。」

自然な呼吸で——
「全身がやわらかく広がります。」
「腕は体の横へ降ろします。」

ロールアップ

「両腕を頭の方へ、バンザイのように長く伸ばします。」

吸って——
「背中にやわらかな広がりが生まれます。」

吐いて——
「頭が軽く起きてきます。」
「腕が天井を通って前方へ。」
「身体の奥が静かに支え続け、背中が丸く続いていきます。」

吸って——
「そのまま流れを保ちます。」

吐いて——
「仙骨が床から静かに離れ、骨盤が起き上がります。」
「坐骨の上まで戻ってきます。」

吸って——
「腕を前方へ伸ばしていきます。」

自然な呼吸で——
「ここで一呼吸。」


2セット目

イメージで質を高める段階。

ロールダウン

吸って——
「背骨が長く保たれています。」

吐いて——
「真珠のネックレスを床に置くように、一節ずつ。」
「背中が広がりながら、重さを床に預けていきます。」

ピラティスのキューイングで用いられる真珠のイメージ

自然な呼吸で——
「身体の重さを感じます。」

ロールアップ

吸って——
「身体が長く伸びています。」

吐いて——
「頭のてっぺんが遠くへ伸びます。」
「背中の上のほうが床から離れていきます。」

吸って——
「そのまま。」

吐いて——
「流れの中で、なめらかに。」
「骨盤がそっと起き上がります。」

自然な呼吸で——
「身体の変化を味わいます。」


3セット目

呼吸が動きを導く段階。

ロールダウン

吸って——
「息が肋骨の横と背中を広げていきます。」

吐いて——
「吐く息が背骨をやわらかくしていきます。」

ロールアップ

吸って——
「息が背中の奥まで広がります。」

吐いて——
「吐く息が背骨を前へ導きます。」

吸って——
「息が背骨の間にスペースをつくります。」

吐いて——
「吐く息に乗って、骨盤が起き上がります。」

自然な呼吸で——
「ここで一呼吸。」


4セット目

最小限のランドマーク。

ロールダウン

吸って——
吐いて——
「仙骨……やわらかく」
「背中……広がって」
「肩……やわらかく溶けて」
「頭……軽く」

ロールアップ

吸って——
吐いて——
「頭……遠くへ」
「肩……やわらかく前へ」
「背中……広がって」
吸って——
吐いて——
「仙骨……そっと」
「坐骨……遠くへ」


実践のために

キューイングは「何を言うか」以上に「何を言わないか」が重要です。

チェックポイント

余計な指示を抑え、感覚と方向性で導く。

指示 → イメージ → 呼吸 → ランドマーク。

この設計は、あらゆるエクササイズに応用できます。


ロールダウンとロールアップは、シンプルな動きです。
だからこそ、キューイングの質がそのまま動きの質に現れます。

強い言葉は必要ありません。
整った言葉も必要ありません。

大切なのは、クライアントの身体が自ら最適な解を見つけられる余白を残すこと

言葉を減らせるようになることは、指導者としての成熟でもあります。

この台本が、その一助になれば幸いです。

また、下記の動画も参考になりますので、ぜひご確認くださいませ。

関連記事
【完全保存版】ピラティスのキューイングとは?|初心者におすすめのイメージキュー例100選

この記事の執筆者:田沢 優(ピラティススタジオBB 代表)
東京大学大学院・身体科学研究室修了。身体運動学・神経筋制御を専門とし、科学的根拠に基づいたピラティスメソッドを構築。2013年にピラティス国際資格である、PMA®認定インストラクター資格を日本で4番目に取得。2015年「トレーナー・オブ・ザ・イヤー」受賞。PHIピラティスジャパン東京支部長を約5年間務め、都内を中心にパーソナルピラティススタジオを複数展開。オリンピック選手、プロ野球選手、Jリーガー、パラアスリート、頸髄損傷者などへの幅広い指導実績を持ち、インストラクター育成数は500名超。文光堂『運動療法としてのピラティスメソッド』にて3編を執筆。現在は「ピラティスをブームではなく文化にする」ため、後進育成と専門教育に尽力中。

この記事を読んで
「ピラティスを試してみたい」と思った方は、
まずは体験レッスンから
お気軽にお申し込みください。