
この記事の執筆者:渡邉 里沙 ピラティススタジオBB 仙台泉 | PHI Pilates インストラクター
はじめに
パソコン作業中やスマートフォンを見ているとき、ふと気づくと奥歯をグッと食いしばっていた、という経験はありませんか。朝起きたときに顎がだるい、こめかみが張る、という声もよく伺います。
「食いしばりは顎の問題」と思われがちですが、実は首の位置とも深く関わっています。ピラティスのセッションで「サービカルノッド」という小さなうなずき動作を行うと、「顎の力が抜けた」と実感される会員様が少なくありません。
この記事では、その理由を体のしくみからひもときます。食いしばりでお悩みの方はぜひ「サービカルノッド」を実際に試してみてください。
この記事でわかること💡
・食いしばりで働く「咬筋」と、首の位置との関係
・サービカルノッドで顎まわりがゆるむと考えられている2つの理由
・自宅でできるサービカルノッドのやり方とコツ
食いしばりで働いている「咬筋」とは
咬筋(こうきん)は、頬骨から下顎の角にかけてついている筋肉です。奥歯を噛みしめると、頬の後ろあたりが硬く盛り上がるのがわかると思います。ここが咬筋です。

こめかみにある側頭筋とともに、下顎を引き上げて口を閉じる役割を担っています。食事のときに強い力を出せる一方で、穏やかに過ごしているときにも力が入りっぱなしになりやすい筋肉でもあります。
実は、本来リラックスしているときの顎は、上下の歯がわずかに離れた状態が自然です。食事や会話以外で歯が触れている時間が長い場合、咬筋が休めていないサインかもしれません。
食いしばりの背景には、ストレスや眠りの質などさまざまな要因があります。そのなかで、ピラティスでアプローチしやすいのが「首の位置」です。
理由① 首の位置が「顎を引っ張る力」を変える
デスクワークやスマートフォンの時間が長いと、頭が体より前に出た姿勢になりがちです。このとき、画面を見るためにあごが前に突き出し、頭と首のつなぎ目(上部頸椎)は反った状態になります。

この姿勢では、のどの前にある「舌骨(ぜっこつ)」まわりの筋肉が引き伸ばされます。舌骨の筋肉は下顎とつながっているため、下顎を後ろ下方向へ引っ張る力が生まれます。つまり、口が開きやすい状態です。
この引っ張りに対抗して口を閉じておくため、咬筋や側頭筋が常に少しずつ働き続けることになります。これが、頭が前に出た姿勢と食いしばりが結びつきやすい理由のひとつです。
サービカルノッドで上部頸椎をゆるやかに屈曲方向へ戻すと、舌骨まわりの引っ張りが穏やかになり、下顎が安静位に収まりやすくなります。咬筋が「顎を支えておく」必要が減るため、力が抜けやすくなると考えられています。
理由② 首と顎は神経でつながっている
首と顎は、力学的にだけでなく神経の面でも密接に関わっています。
咬筋などの咀嚼筋をつかさどるのは「三叉神経」です。一方、頭と首のつなぎ目にある後頭下筋群などからの感覚は、上位の頸神経を通って伝わります。この2つの神経の情報は、脳幹から頭頸部にかけての同じ領域に集まることが知られています。
そのため、後頭部の付け根が緊張していると顎まわりも力みやすく、反対に後頭部がゆるむと顎まわりも落ち着きやすい、という関係が考えられています。サービカルノッドでは、後頭下筋群がやさしく伸ばされます。
また、口を開けるときは頭がわずかに反り、閉じるときはうなずく方向に動くように、顎と首はセットで協調して動いています。
食いしばっているときは、首の表面の筋肉も一緒に固まりやすくなります。首の深いところにある筋肉を使って頭を支えられるようになると、表面の力みが抜け、顎の力みも一緒に抜けやすくなります。
自宅でできる!サービカルノッドとは?
サービカルノッドは、頭と首のつなぎ目で小さくうなずく動きです。あごを気に引くのではなく、後頭部が長くなるような、ごくわずかな動きを指します。ピラティススタジオBBでは多くのエクササイズの準備として取り入れています。

大切なのは、深層の筋肉を使い、表層の筋肉を力ませないことです。強くあごを引くと舌骨まわりの筋肉が頑張ってしまい、かえって顎まわりが固まることがあります。
仰向けで行うと頭の重さを気にせず動きに集中できるので寝る前や、デスクワークの合間に座って行うのもおすすめです。

セットポジション:マットの上に仰向けになり、膝を立てます。両手を遠くに置くように意識し胸を開きます。
※腰が反りすぎないように注意しましょう。

エクササイズ:①鼻から息を吸い、口から吐きながら喉に顎を刺すように小さくうなずきます。吸う息で戻します。
呼吸を意識しながら無理のない回数で行いましょう!

①の動きが行えるようになったら、頷きながら膝の間を見るように軽く頭を持ち上げます。
頭を下ろす際に顎が上がらまいよう意識しましょう!まずは5回を目安にチャレンジしてみてください。
※首の違和感、痛みやしびれを感じる場合は無理に続けず中止してください。
ピラティススタジオBB公式YouTubeでは首周りに対するアプローチをご紹介しております!食いしばりや首周りの不調、詳しく知りたい方はぜひ下記をご覧ください!
まとめ
食いしばりで働く咬筋は、首の位置と力学的にも神経的にもつながっています。サービカルノッドで頭と首の関係を整えると、顎を支える負担が減り、顎まわりがゆるむ実感につながりやすくなります。
「顎だけ」ではなく「首から」見直すのが、ピラティスならではのアプローチです。ピラティススタジオBBでは、お一人おひとりの姿勢や動きのクセを拝見しながら、マンツーマンのセッションをお届けしています。食いしばりや首まわり、日常生活でお悩みがある方はぜひ体験セッションでご相談ください。
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渡邉 里沙(Risa Watanabe)
PHI Pilates インストラクター。
幼い頃からバレエやジャズダンスなどに触れ、舞台表現の指導にも携わる。
自身の表現をより良いものにしたいとトレーニング方法を模索していたところ、マシンピラティスに出会う。