ポールスターピラティスの創始者であるブレント・アンダーソンの正面写真

ポールスターピラティスは本当に「医療系ピラティス資格」なのか?

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元エデュケーターの証言と、現場から見たリアル

ピラティスの流派の中でも、「医療系に強い」「理学療法士が作ったメソッド」というイメージが、半ば常識のように語られてきたのが ポールスターピラティス(Polestar Pilates) です。

資格取得を検討するインストラクターにとっても、質の高い指導を求めるお客様にとっても、このネームバリューが持つ影響力はいまなお大きいものがあります。

ただし——
教育の内側や、資格制度の運用を実際に見てきた立場からすると、世間で語られているイメージと、現場の実態とのあいだには、いくつかの「ズレ」があると感じる場面も少なくありません。

今回は、元エデュケーター・メンターから聞いてきた話、そして私自身の経験を踏まえ、ポールスターピラティスの「光と影」を、あえて率直に書いてみようと思います。


1. 創設者ブレント・アンダーソンと「医療系」という出自

まず大前提として、ポールスターが医療的背景を持つメソッドとして誕生したことは、
疑いようのない事実です。

創設者であるブレント・アンダーソン(Brent Anderson)氏は理学療法士であり、マイアミ大学で物理療法の博士号(PhD)を取得しています。彼が構築した解剖学・運動学・神経科学に基づくアプローチは、今もポールスターの教育体系の中核を成しています。

ポールスターピラティスの創始者であるブレント・アンダーソンの正面写真

「医療系」という評価は、後付けのキャッチコピーではなく、出発点そのものだった。
この点については、異論はないでしょう。

参考動画
Pilates Anytimeでのブレント・アンダーソンのワークショップ


2. 日本における「医療のイメージ」を決定づけた時代

日本で「ポールスター=医療系」という印象が特に強く形成されたのには、明確な時代背景があります。

約10〜15年ほど前の日本支部(Polestar Pilates Japan)の構成です。

当時の教育現場の前面に立っていたのは、医師や理学療法士といった医療資格を持つ日本人エデュケーターたちでした。

その象徴的な存在の一人が、医師であり、当時エデュケーターを務めていた武田 淳也氏(広域医療法人 福岡宣徳会 宜保中央病院 理事長、スポーツ・栄養クリニック 理事長)です。

また、ヨガ&ピラティス指導者としても知られる中村尚人氏も理学療法士かつポールスターピラティスのコンプリヘンシブコースの日本1期生の1人でした。

もちろん当時も、非医療従事者の指導者は存在しました。

しかし、医療バックグラウンドを持つプロフェッショナルが「組織の顔」として発信していた事実が、日本国内における「ポールスター=医療系」というブランドを強固に形づくったのは間違いありません。

現在は、ポールスターピラティスから離れ、Motor Control®: Beyond Pilates®という資格養成をされていらっしゃいます。


3. ダナ・ウェイバーンという存在が象徴する「現在の評価軸」

10年以上前から、日本を含むアジア圏のポールスター教育をリードしているのは、Dawnna Wayburne(ダナ・ウェイバーン) 氏です。

Polestar Pilates Asia Inc. 教育ディレクターのダナ・ウェイバーンの画像

彼女は、

  • Polestar Pilates Asia Inc. 教育ディレクター
  • アジアにおけるライセンシー
  • Iso Fit 創立者
  • GYROTONIC® メソッド マスタートレーナー

という立場にあり、香港を拠点にアジア全体の教育体制を担っています。

ここで重要な事実は、彼女自身は医師でも理学療法士でもないということです。

彼女のバックグラウンドは、ダンス、ピラティス、ジャイロトニック。
その指導の重心は、医療的エビデンスという言葉以上に、

  • ムーブメントとしての完成度
  • 身体が一つのシステムとして統合されているかどうか

といった、動きそのものの質に置かれています。

また、過去にポールスタージャパンで教育に関わっていた元エデュケーター・元メンターの話を聞くと、彼女が非常に勤勉で、世界各地で継続的に学び続けてきた人物であることは間違いありません。

医療従事者ではなくとも、豊富な知識と経験、そして何より自らの身体表現によって相手を納得させる力を、確かに備えていた——そのように評価されている存在です。


4. 「誰がピラティス資格の合否を決めるのか」という現実

現在のアジア圏におけるポールスターの資格制度では、最終段階の資格試験(ファイナル評価)の実施および、その評価・判断プロセスに、Dawnna Wayburne 氏が実際に関与しています。

ここで、事実として明確にしておくべき点があります。
現在、この最終評価の合否判断に、日本人エデュケーターが直接関与することはありません。
※2026年現在、国内の認定制度が変わっている場合は、ぜひ当スタジオまでご連絡ください。

日本国内でどれだけ経験を積んだ指導者であっても、合否の最終判断は、アジア統括の評価体制のもとで行われています。

当然ながら、否の判断は ポールスターメソッドおよび公式カリキュラム に基づいて行われます。医療的知見や解剖学的原則が、恣意的に無視されているわけではありません。

ただし、実際の最終評価の場では、

  • そのメソッドをどこまで身体で体現できているか
  • 動きが部分ではなく、全身として統合されているか
  • 見る側を納得させる説得力を持ったムーブメントになっているか
  • Dawnna氏の個人的な主観が入っている(過去の経験があることは大前提だが)

といった点が、強く重視されている印象があります。

言い換えれば、

「知識として理解しているか」だけでなく、「その理解が、動きとして立ち上がっているか」

という部分に、評価の重心が置かれているということです。

その意味で現在のポールスターは、かつて日本で強く意識されていた「医療系ピラティス」というイメージから、「メソッドをどう体現できているか」というムーブメントの質へと、評価軸の重心を移している(というより、もともとそのようなピラティス団体だった)——そう捉えるほうが、実態に近いと感じています。

なお、前提として確認しておきたいのは、ポールスターピラティスは医療資格ではなく、あくまでピラティスの教育資格であるという点です。

そう考えれば、医療的肩書ではなく、メソッドをどれだけ身体で体現できているかが評価の中心に置かれている現在の構造は、決して不自然なものではありません。

一方で、世界的には、理学療法士のピラティスを多く排出しているため、Dawnna以外の海外の理学療法士のピラティス資格者がセミナーのために来日することは、以前より実施されています。

決して医療色が弱いというわけではないことは、ここで一度強調できればと思います。


5. 資格制度は「上下」ではなく、「評価軸の違い」

ポールスターの資格は、「他流派より難しい」「レベルが高い」と語られることがあります。

ただ、個人的には、それを「上か下か」という話で捉えるべきではないと考えています。

たとえば、日本で広く普及している PHIピラティスと比較すると、両者の違いは明確です。

ポールスターと他団体を比較する際、単純に「何が評価されるか」という視点だけでは、実態を捉えきれないと感じています。

というのも、資格判断の体制そのものが異なるからです。

ポールスターの場合、最終段階の資格判断は、アジア統括である Dawnna Wayburne 氏が関与する体制で行われます。
評価基準はポールスターメソッドに基づいていますが、その解釈や最終判断は、1名の海外の教育ディレクターの身体観・ムーブメント観に集約される構造になっています。

一方で、PHI Pilates では、資格判断を 2名の日本人マスタートレーナー が担う体制が取られており、
評価は複数の視点によって行われます。

そのため、PHIでは、

  • 構造理解が適切か
  • キューイングが明確で安全か
  • 再現性のある指導ができているか

といった点が、比較的はっきりとした基準として確認される印象があります。

あくまで私自身の感覚ではありますが、資格判断における基準の厳しさという点では、ポールスターのほうが厳しいと感じています。

ただしそれは、ポールスターの方が「上」であるという意味ではなく、判断が一つの価値観に集約されるがゆえに、合否のラインが明確かつシビアに引かれる構造だからだと捉えています。


6. 資格取得後にかかる「継続教育コスト」という現実

もう一つ、現実的な視点として見落とせないのが、ライセンス維持にかかるコストです。

これはあくまで私自身の感想ですが、ポールスターピラティスは、資格取得後に求められる継続教育(CEC)やライセンス維持費が、PHIピラティスなど他団体と比較して、高めに設定されている印象がありました。

学び続ける仕組みそのものは、非常に健全です。継続教育が求められること自体に、異論はありません。

ただし重要なのは、

  • どの程度の頻度で
  • どのくらいの費用をかけて
  • どこまでその団体にコミットし続けるのか

という点です。

これは資格を取った「後」の話ではなく、資格を取る「前」に、ビジネスの観点からも冷静に考えておくべき判断材料だと感じています。

実際、世界的に見ればポールスターピラティスは、PHIピラティスと比べても資格取得者数が多く、認知度も高い団体です。それにもかかわらず、日本国内では取得者数が爆発的に増えているとは言い難い状況にあります。

この背景には、単なるメソッドの優劣ではなく、資格取得後も含めたコスト構造や運用体制といった、
より構造的な要因が関係していた
と考えるのが自然ではないでしょうか。

追記:2026年現在のポジティブな変化

ただし、この状況には今、明確な変化の兆しが見えています。以前は「高額」という印象が強かったポールスターピラティスのワークショップですが、直近の事例を見るとかなり良心的な価格設定へとシフトしています。

例えば、2026年のPOLESTAR PILATES Australia シニアエデュケーターであるルイーザ・リンス氏のワークショップは、受講料が1講座(2時間)で18,000円となっており、非常に受講しやすい価格です。

こうした変化からは、現在のポールスターピラティスの日本人エデュケーターの方々の並々ならぬ経営努力が感じられます。資格取得後のコスト構造が大幅に改善され、より「学びを継続しやすい環境」へと進化している可能性を示唆しており、これから資格を目指す方にとっては非常に心強い材料と言えるでしょう。


結論:ポールスターは「選択肢の一つ」であって、答えではない

ポールスターピラティスは、今も世界的に影響力のある教育体系を持つ、非常に優れた団体です。

一方で、私たちが今、目の当たりにしているのは、次のような現実でもあります。

  • 「医療系」という言葉が指してきた意味は、10年前と現在とでは変化していること
  • 現在の評価軸は、医療資格そのものではなく、メソッドをどのように体現できているかという
    ムーブメントの質に、より重心が置かれていること
  • ブランドを維持し、学び続けるためには、相応のコストとコミットメントが求められること

最終的に問われるのは、どの団体のロゴを背負っているかではありません。

目の前のお客様の身体に、本当に変化を起こせているか。

それだけです。

ポールスターを盲信するのでも、否定するのでもなく、その特性と実態を正しく理解したうえで、必要な部分を取捨選択し、使いこなす。

そして、仮にどのピラティス団体で資格取得をしたとしても、一つの資格団体の枠の中だけで学ぶのではなく、多くの講師、セミナー、価値観に触れながら学び続けるピラティスインストラクターのほうが、結果的に強いと感じています。

もちろん、資格団体はCECやCEU制度(継続教育・単位制度)を通じて、自団体内での学びを促す仕組みを持っています。

それ自体は自然なことですが、資格団体に過度に依存するのではなく、主体的にさまざまな学びを続けているインストラクターのほうが、長い目で見て力を発揮しているように思います。

それこそが、今の時代にふさわしい「プロのピラティス指導者」の在り方ではないでしょうか。


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