自宅でできるプレピラティス-頭の位置改善編

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ご家庭でできる「頭の位置改善に対するアプローチ」については、当スタジオの公式インスタグラムやYouTubeショートで3つご紹介しています。


日常的なアプローチとしては、まずはこちらの3つのエクササイズを毎日取り組むだけで、おおまかなアプローチは十分なように思います。


ジョセフ・ピラティス自身は、下記のような「Neck Stretcher(ネック・ストレッチャー)」というプロップを開発していました

ジョセフ・ピラティスがNeck Stretcherでエクササイズしている姿

BBのピラティスセッションでも首のアプローチをさせていただくことはありますが、頭頸部の動きに関しては、まずはその特徴を知っているか知っていないいかで、効果が大きく異なります。

そのため、少しマニアックに思うかもしれませんが、ぜひ下記のメカニズムをご理解いただけると良いと思います。

ポイントは、「頭部」「頸部」「頭頸部」の違いを理解すること


「うなずく」という日本語だと、日本人は皆「首の動き」をイメージします。

その時、多くの首のイメージは、甲状軟骨(一般的に言われている喉仏)くらいの高さではないでしょうか?

甲状軟骨は、7つある首の骨の上から5番目くらいの位置、つまり首の下の方にあります。

もしこのあたりを中心で頷くと、下の女性のように、頭がだいぶ前に出てしまいます。

現代人は、スマホの普及などにより、首の下の高さで屈曲」する癖を、生活習慣の中で身につけてしまっています。

この癖を修正しようとする際に、理解した方が良いのが、「頭部」「頸部」「頭頸部」の違い。

英語では、「頭部=capital」「頸部=cervical」「頭頸部=combined」と論文などでは区別されていますが、日本ではこのような区別がほとんどなされていません。

日本語で訳されている関連書籍も非常に限られており、指導の現場にこのような知識が落とし込まれていないのが現状です。

下記、動画にてその違いをご紹介します。

頸部(Cervical)の屈曲(エラーの動き)

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首の下の方は屈曲(Flexion)できているのですが、うなずいているのに、首の上の方は伸展(Extension)しまっています。

そして、これがいわゆる首のカーブがなくなってしまう「ストレートネック」の正体でもあります。

ピラティスにおいては、「カールアップ」をした時に顎が上がってしまう方は、「頭部のうなずき」が足りず、「頸部の動き」のみで首を使う癖があるからです。

あるいは「カールアップ」時に頭が前に行きすぎる癖のある人も、「頸部の動き」のみで首を使う癖があるからです。


頭頸部(Combined)の屈曲

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こちらは、頭部と頸部が一緒に屈曲できています。

頭部の屈曲が使え、「頭頸部の屈曲」ができているカールアップは、以下のようになります。

「首のうなずき」と言ってしまうと幅広い解釈になっていますが、「頭部」「頸部」「頭頸部」の違いを認識するだけで、「動きの質」が変わっていきます。

話がやや難しくなってきましたが、そのような理解がなくても効果をあげられるのが、冒頭のYouTubeショートで紹介した「頭の位置の改善エクササイズ」です。


さて、もう少し解説をしていきます。

頭部のうなずき運動が足りていないと、「首の前にあるインナーマッスル」が弱くなり、「首の後ろの筋肉が硬くなる」


先ほどの動画と似ていますが、下の動画は「首のインナーマッスル」が働かない状態での、アウターマッスルである「胸鎖乳突筋」が主に働いた状態での首の動きとなります。

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アウターマッスルである胸鎖乳突筋だけで首を曲げようとする、顎が上がった状態のまま、頭が前に出てしますのです。

首周りには、胸鎖乳突筋よりも深い位置にあるインナーマッスルが存在しますが、筋肉も小さく弱いため、アウターマッスルが優位になると、働きにくくなります。

首の屈曲のインナーマッスル

だからこそ、YouTubeで紹介しているような、「頭部の屈曲運動」をエクササイズとして取り入れることで、首のインナーマッスルを活性化させる必要があります。

また、上でも触れましたが、「頭部の屈曲」を効果的に行うためには、「首の高さ」の正しい認識が必要です。

動画内では、「耳と耳の間に一本の棒が通っていると思って」という説明がありますが、首は、まさにこの高さから首が始まっているのです。

首は「耳と耳の間の高さ」から始まっている

※一般的な喉仏と「遺骨」で言われる喉仏は違うことご理解ください。「遺骨」の喉仏は第2頚椎になります。

頭部に近いところでの動きが「頭部の動き」、喉仏に近いところの動きが「頸部の動き」、両方が伴っているのが「頭頸部の動き」ですが、多くの方が「頸部の動き」が過剰で、「頭部の動き」が足りていません。

「耳の高さ」、つまり頭部から首を動かす運動パターンを身につけることで、首の前にあるインナーマッスル(椎前筋などと呼ばれます)が働き、硬くなりやすい後ろ側にある筋肉(後頭下筋群などと呼ばれます)が柔らかくなります。

上記のような解説を読んでいただき、改めてYouTubeショートの動画を参考に取り組んでいただけると、よりエクササイズの理解が深まります。

YouTubeショートだと探しにくい方は、インスタグラムでも同じ動画を公開していますので、そちらでご確認いただいても大丈夫です。

また、ピラティスインストラクター向けに「サービカル・リトラクション」という動画を公開しました。

「プロトラクション」が前方突出、「リトラクション」が後退と訳されることもありますので、「正しく、首を後ろに引きながらのエクササイズ」と認識してご覧ください。

こちらは、2024年に韓国・釜山で開催された「Pilates on Tour」の講座で紹介したアプローチを紹介したものとなっています。

ホームローラー(ストレッチポール)だと少し固いですが、ソフトボールを活用することで、頸椎まわりの調整ができる事例となっています。

解説の内容は「インストラクター向き」ですが、動き自体はソフトボールさえあれば、ご自宅でもできるエクササイズですので、参考にされてください。

ピラティススタジオBB



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