ジョセフ・ピラティスは、「コントロロジー」というメソッドとともに、1920年代以降、マシンやツールの開発に取り組んでいました。
マシンやツールの開発と同時に、特許取得の活動も積極的に行なっていました。
そして、意外かもしれませんが、ジョセフが最初に特許を取得したピラティスツールは、「フットコレクター」です。

フットコレクターは、1923年にドイツで特許を取得。
ドイツ語では、”Vorrichtung zur Beseitigung oder Besserung von Bein- und Fußfehlern o. dgl.”(脚や足の欠陥などを解消または改善するための装置)という名で特許を取得しました。
20世紀前半は、「足のリフレクソロジー」といった言葉は存在していなかった時代です。。
ボディワークにおける「足部へのアプローチの重要性」が世の中に広まるずっと前から、ジョセフは「足部」に興味を持ち、改善のためのツールやメソッドを開発し、21世紀の今でもその指導内容は通用しています。
フットコレクターの使い方に興味がある方は、ぜひ以下のYouTubeの動画をご覧ください。
以上が、フットコレクターに関連するお話でしたが、次にリフォーマーについて触れていきいたいと思います。
現在、「リフォーマー」と呼ばれているピラティスマシンは、1924年に特許を取得しました。
ドイツで特許取得した時は“Körperübungsgerät.”(運動器具)という名称です。

この記事を書いているのは2025年ですが、昨年2024年はリフォーマーが特許を取得してから100年目でした。
アメリカでは、1927年に特許が認められています。

さて、リフォーマー・エクササイズで最も有名なエクササイズの一つに、フットワークがあります。
各ピラティス団体のリフォーマー養成コースで、最初に学ぶことが多いのが、このフットワークであり、国際資格のテキストでも、リフォーマー・エクササイズの最初に出てきます。

「foot work(足の働き)」という名称が示すように、このエクササイズはもともとジョセフによって「足部の調整」のために開発されました。
先述のリフォーマーの特許申請時の記述でも、繰り返し「扁平足の改善」について言及されています。
「フットワーク」というエクササイズ自体は、「足部」だけではなく、「下半身全体」「体幹とのつながり」など、さまざまな効果や目的のための動いていただくことが多いですが、原点を辿ると「足の調整」のために開発されたエクササイズなのです。
世間では「ピラティスは体幹エクササイズ」との印象が強いかもしれませんが、その印象はピラティス・メソッドのほんの一部に過ぎません。
個人的な意見ですが、「足のエクササイズを的確に指導できる」インストラクターにはほとんどハズレがないと考えています。
勉強熱心な運動指導者は、ピラティスに限らず必ず「足」に関するを学びを深め、足部に対する的確なアプローチ方法を身につけています。
ピラティスによる体幹へのアプローチは、例えば「くびれ作り」や「下腹の凹み」など、指導者。クライアントの両方にとって、比較的早く効果がわかりやすくあらわれます。
そのため、ピラティス初心者、指導初心者にとっては、体幹へのアプローチの質を高めることに注力して良いと思います。
しかし、体幹へのアプローチだけで満足するのは、ピラティスを実践する者や、指導する者にとっては、勿体無いことと言えます。
ピラティスの源流を知れば知るほど、「足へのアプローチへの大切さに気づく」。
100年以上前から、「足の調整」に関心を向けていたジョセフ・ピラティスは、やはり偉大だと感じるエピソードを紹介させていただきました。
ピラティススタジオBB
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